アーティーでは新たな出力表現として「写真xマット調プリント」にも取り組んでい
ます。
これらのクオリティは、以前にご紹介した「無頼」のプロジェクトの際にご担当の方
からいただいた
「チューンUPが素晴らしい」とのコメントに象徴されています。
私どもにとって”深みのある色調とマットな質感”というのは、日常的な出力の一環
であって見慣れてしまっているのですが、
組み合わせや他分野の視点によっては、新たな付加価値や風合いを生み出すことを学
ばせていただきました。
この度、ご依頼のあった写真家・丹野徹さまの作品もその意味で私どもに、そして作
家さんにとっても新たな試みだったかと言えます。
丹野さまは通常”色を徐々に重ね合わせて黒に近づけていく”という写真表現を手掛
けておられるのですが、
今回は動画や写真のような、奥行きのある風景の中に躍動する色
彩が表現されたカラー作品を制作しました。
校正時に丹野さまご自身によるデータ編集を経て、ご覧のような瑞々しい仕上がりと
なりました。(完成品には裏打ちボード)
まるで、ちゃぽんと水面から鯉が跳ねて出てきそうな臨場感。私どももその出来映え
に息を呑みました。
さらに後日、作家の丹野さまから身に余る嬉しいコメントまで頂戴しましたので、ご
許可のもと全文掲載させていただきます。
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(丹野徹さまコメント)
プリントでもっとも匙加減の難しい、中間調からハイライトにかけての階調がリニア
に紙に反映されることはたいへん驚きでした。このことは紙の特性にあったプリンタ
のセッティングなしには実現されない事と思います。そして黒の階調も意図しない色
乗りが出やすい混色の黒の安定してムラのない出力を達成されていたことは、大きな
喜びを感じます。
これらに加え、最適化された解像度への配慮はヘアラインの描写においても優れた結
果を出してくれるものと確信致しました。
多くの場合、(良くも悪くも)紙にプリントするのは「紙の質感と相まってデータよ
り良くなってしまう」か、「データ、プリンタ双方の解像度に依存する要因による精
細感の欠落」を想定しなくてはなりません。(もちろんこれらの要素も織り込んで制
作をしておりますが)例えれば質のよいモニタースピーカーのように“良い画像
(音)は良く、悪い画像(音)は悪く”極めて率直で安定したプリントが得られるこ
とは、作品が良いものになるか否かは作者次第であると言えるでしょう。
写真プリントに於いてこのような“素晴らしく率直なプリント”が得られることは稀
であるように思います。そして、このプリントクオリティを前提とした作品制作を考
えられることは表現の幅を拡げて頂いたということでもあります。
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丹野様、ありがとうございました。