今回は、精巧なフィギュアメーカーとして中国で知られているmanasmodel様よりご依頼いただいた、
中国人アーティスト 老中医先生の版画制作のご紹介をいたします。
アーティーでは印刷だけでなく、作品に合わせて特殊効果を施すご依頼も承っております。
今回の作品は、螺鈿の貼り付け、金色の手彩色を行うことになりました。
まずは、金の輪にエアブラシで顔料を吹き付け、そのあと1枚1枚、手作業で細く繊細な線を描きなぞります。
金は、明るく黄色みの強い金色と、赤みの強い金色の2色を使用。
線1本の力加減や、筆の運び方を観察していると、作家さんがこの作品といかに丁寧に、
そして真剣に向き合っていらっしゃるのかが伝わってきます。
線、たかが線、されど線。太すぎても、細すぎても作品の印象は大きく変化してしまいます。
なので、作品に筆を入れるときは、大変緊張します。
こうして描いたものに、つぎは螺鈿(らでん)を張り付けていきます。
螺鈿とは、青貝の殻の内側が原料で、玉虫色の輝きがあります。
この螺鈿にさらに艶加工を行い、瑞々しさが加わったことで、より華やかな印象に仕上がりました。
この他にも3絵柄ご依頼いただいておりましたので、続けてご紹介いたします。
こちらは和紙に印刷し、手彩加工を施しております。
和紙は繊維質なため、ごみの埋まりなどがあり、1枚づつ検品し適した修正を行います。
こちらの絵柄にも金色を手作業で彩色していきました。
流れるような勢いのある線を殺さずに、かつ丁寧に描き加えていきます。
印刷後に人の手が入るため全く同じものはなく、だからこそ1枚1枚に表情や新たな価値が生まれます。
手作業が加わることの醍醐味がそこにあるのではないでしょうか。
今回のご依頼は作業工程や制作枚数の関係から私たちもかなりの時間を費やしました。
沢山の時間、作品に触れていますと、それぞれに愛着も湧いてきまして、
「素敵な人に貰われて、飾られるんだよ」と、密かに話しかけながら作業しておりました。
私も、現地でこの作品たちが、お客様の手に取られる瞬間を見届けたいものです。
さて、こちらの作品は中国で新しくオープンした「北京 山水美術館」で飾られたようです。
調度中国まで行くんだよ~なんていう方は、新しいアートスポットへ立ち寄ってみてはいかがでしょう。